自動化による「工程間ロス」削減のための見える化ツール:初心者向け解説

事例紹介

工場の生産性向上を目指す上で、「工程間ロス」は避けて通れない課題です。製品が一つの工程から次の工程に移る際に発生する待ち時間や滞留時間は、目に見えにくいながらも、生産性・リードタイム・コストに大きな影響を与えます。

この記事では、初心者の方に向けて、工程間ロスの概要と、自動化・見える化ツールを活用して効率的にロスを削減する方法をわかりやすく解説します。


工程間ロスとは?

工程間ロスとは、以下のような時間・動作のムダを指します。

  • 搬送の待機時間
  • 仕掛品の滞留(置きっぱなし)
  • 次工程の段取り遅れ
  • 情報の伝達ミスによる停止

これらは「稼働していないのに製造時間がかかっている」状態であり、工程が自動化されていても、工程間の調整が不十分だと生産効率は上がりません。


工程間ロスがもたらす問題

  • 生産リードタイムの長期化
  • 仕掛品の増加によるスペース圧迫
  • 在庫・材料ロスの増加
  • トラブル発生時のボトルネック化

工程間ロスは、積み重なることで工場全体の生産性や品質にまで影響を与えます。


自動化だけではロスは解消しない?

よくある誤解として、「ラインをすべて自動化すればロスはなくなる」というものがあります。しかし、工程単体の自動化に注力するあまり、工程間のつなぎが不十分なケースが多く見られます。

たとえば…

  • 加工工程は自動化されているのに、搬送は人手で行われている
  • 工程間のタイミングが合わず、無駄な待ち時間が発生している
  • 異常発生時のアラートが次工程に連携されていない

このような課題を解決するためには、「見える化ツール」の導入が効果的です。


見える化ツールの役割と種類

✔ 稼働状況モニタリングツール

設備ごとの稼働/停止状況をリアルタイムで表示。工程間で進行のズレが可視化され、滞留の原因を特定しやすくなります。

✔ 工程連携ダッシュボード

複数の工程を1画面にまとめて可視化。進捗、残作業数、次工程の待機状態などを同時に確認できます。

✔ アラート連携システム

1工程で異常が発生した場合、次工程や担当者に即時通知。情報の伝達ロスを防ぎ、トラブル時の被害を最小限に抑えます。

✔ 自動搬送+タイミング制御ツール

AGVやコンベアと連携し、搬送タイミングを最適化。ラインのバランスを取ることで待機時間を削減します。


実際の導入事例

ある金属加工工場では、3つの加工ラインの工程間に常に仕掛品が山積みになっており、作業者の動線も複雑でした。

導入した内容:

  • 工程間の進捗を見える化するダッシュボード
  • AGVによる自動搬送+センサー連携
  • 停止アラートの即時通知機能

結果:

  • 工程間の仕掛品を40%削減
  • 停止原因の可視化でトラブル対応時間が50%短縮
  • 生産リードタイムが25%短縮

初心者向け導入のコツ

  • 最初は1ラインだけに導入する
    スモールスタートで効果を実感しやすく、現場の理解も得やすい。
  • トラブルを見える化から始める
    最初はすべてを制御せず、「何がロスかを見えるようにする」だけでも効果がある。
  • 現場の声を活かす
    実際に使うオペレーターの意見を反映することで、運用定着しやすくなる。

まとめ

工程間ロスは、目に見えにくいながらも生産性に大きな影響を与える隠れたムダです。見える化ツールと自動化の連携を活用することで、的確にロスを把握し、削減することが可能になります。

まずは「止まっている」「滞留している」原因を知ることから始めて、改善を積み重ねていくことが、スマートファクトリーへの第一歩です。

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