製造現場の改善といえば「5S活動」が基本中の基本です。
5Sとは、整理・整頓・清掃・清潔・しつけの頭文字を取った活動で、職場環境の維持や効率化に欠かせません。
一方で、最近では自動化技術の導入も進み、ロボットやIoT機器による省人化・高効率化が注目されています。
では、この2つを連携させるとどのような効果があるのでしょうか?
5S活動が自動化導入の土台となる理由
自動化は魔法の杖ではありません。
どれだけ高度なロボットやセンサーを導入しても、現場が整理されていなければ機器はうまく機能せず、トラブルや停止の原因になります。
例えば、部品が所定の位置にない、配線が雑然としていてロボットが動けない、といった状況では、自動化による効果を発揮できません。
だからこそ、5S活動によって現場の基本が整っていることが、自動化成功のカギを握ります。
自動化による5S活動の定着促進
逆に、自動化は5S活動を強化する役割も果たします。
例えば、部品の自動供給装置を導入すれば、整理・整頓が維持されやすくなります。
また、作業手順が明確に決まっていることで、作業ミスが減り、清掃や清潔の重要性が自動的に意識されます。
さらに、センサーやカメラによって「清掃が行われていない」「物が本来の位置にない」といった状況を自動検知できる仕組みも構築可能です。
実践!5S+自動化の取り組み例
ある中小工場では、作業場の工具管理にRFIDタグを活用しています。
工具を使用後、所定の場所に戻さなければセンサーがアラートを出す仕組みを導入することで、整頓の徹底が実現しました。
また、床清掃には自動清掃ロボットを採用し、清掃漏れをなくすことで、清潔な職場環境を維持しています。
こうした仕組みによって、従業員の5Sに対する意識も自然と高まり、「しつけ」の面でも効果が期待できるのです。
5S活動と自動化を共に推進するポイント
5S活動と自動化をうまく融合させるためには、以下のようなポイントが重要です。
- トップダウンとボトムアップの両立:経営層の意志と現場の声を両方取り入れる
- 段階的な導入:いきなり全てを自動化せず、5Sが整った工程から段階的に進める
- 教育と可視化:5Sと自動化の関係を従業員に共有し、成果を見える化する
まとめ:現場力を底上げするための最強タッグ
5S活動と自動化は、それぞれが単独でも現場改善に貢献しますが、連携させることでその効果は倍増します。5Sによって整えられた職場は、自動化機器の能力を最大限に引き出す土台となり、逆に自動化は5Sの維持・定着を支援します。
この最強タッグを意識的に取り入れることで、製造現場の「現場力」を大きく底上げできるのです。
まずは小さな改善から始めてみましょう。