製造現場で自動化を進め、「タクトが短縮された」「生産効率が上がった」という成果が出ても、営業部門からは「で、それって売上にどう影響するの?」という反応が返ってくることがあります。
実は、自動化によって得られる“納期短縮”のインパクトは、営業活動にも大きく関係しています。
ただし、それを正しく伝えるには、製造の成果を“営業目線”に翻訳する力が必要です。
この記事では、初心者向けに「自動化による納期短縮を、営業部門にも納得してもらえる説明法」について解説します。
営業部門が重視している“納期”の意味とは
営業担当が重視する「納期」とは単なるリードタイムの短さだけではありません。
以下の3つの観点があります。
- 競合優位性: 他社より早く出荷できることが強みになる
- 受注率向上: 顧客が「早く欲しい」と言ったときに応えられる
- 取引拡大: 納期対応力が信頼されれば、別案件や量産依頼が来る
つまり、営業にとって納期短縮は「取れる案件が増える」「顧客満足度が上がる」という成果に直結する重要ポイントなのです。
納期短縮をどう数値で説明するか?
営業部門が納得するには、「何日短くなった」だけでは不十分です。
以下のように具体的な営業メリットに変換して説明するのが効果的です。
① 製造リードタイムの比較
例:
導入前:10営業日 → 自動化後:6営業日 → 「4営業日短縮」
これにより、月間で2ロット多く生産できる可能性を提示できます。
② 回転率・受注キャパの可視化
- 「1ラインあたり、月○件の受注が処理できるようになった」
- 「これまで断っていた特急案件にも対応可能になった」
という形で、営業活動の自由度が増すことを伝えます。
③ 顧客への納期短縮アピールに活用できる
- 「短納期対応可」という訴求ポイントが増え、Webや営業資料に記載可能
- 実際に競合から案件を奪取した実績をセットで示すと効果的
製造現場が準備すべき「説明ツール」
営業部門が理解しやすいように、以下のようなツールを用意しておくとコミュニケーションがスムーズになります。
- 納期短縮のビフォーアフター表: 工程ごとの時間短縮を数値で明示
- 案件シミュレーション: 月間の生産数が○個増えると、○件の追加受注が可能になる
- 成功事例レポート: 自動化によって特急案件を獲得・対応できた実例
営業が納得する「対話フレーズ」例
製造現場の説明が営業目線になるだけで、伝わり方が変わります。
❌ NG例:
「タクトが1.2秒短縮されたので、生産性が上がりました」
✅ OK例:
「この工程を自動化したことで、月に2ロット分の生産余力ができました。
それにより、特急依頼が来たときに即対応でき、2件の受注につながっています。」
このように、“営業が伝えやすい言葉”に変換して伝えることがカギです。
営業と製造の“連携ポイント”を増やすと効果倍増
最終的には、納期短縮をきっかけに「営業と製造の接点」を増やすことが、全体の強さにつながります。
- 営業向けの簡易な現場説明資料を定期更新
- 案件受注前に現場と協議する“納期相談フロー”を構築
- 「こんな自動化でこんな対応が可能」という情報発信を営業向けに定期実施
これにより、営業担当が自信を持って「できること・できないこと」を説明でき、顧客への信頼にもつながります。
まとめ:製造の成果は、営業が伝えやすい形でこそ活きる
製造現場の努力は、営業部門が顧客に“武器”として使える形でこそ真価を発揮します。
- 数値化(何日短縮したか)
- 営業価値化(何件受注が取れるようになったか)
- 実例化(実際に取れた案件)
この3つをセットで伝えることで、営業側も納得し、自動化の成果を全社で共有できます。
今ある成果を、どう伝えるか。
その“言い換え力”こそ、現場の真の強さにつながるのです。