製造業の展示会は、自社の技術や製品を顧客やパートナーに直接アピールできる貴重な場です。
しかし、多くの出展企業が集まる中で埋もれないためには「差別化されたデモ」が欠かせません。特に自動化分野では、単に機械を動かすだけでなく、来場者の心をつかむ工夫が必要です。
この記事では、初心者向けに差別化できる自動化デモの企画事例や準備のポイントをわかりやすく解説します。
展示会デモの役割とは?
展示会デモの目的は以下の3つです。
- 注目を集める
立ち止まってもらわなければ何も始まりません。 - 理解を深める
複雑な技術や仕組みを直感的に伝える。 - 記憶に残す
来場者の印象に残り、後日の問い合わせや商談につなげる。
これを意識して企画することが差別化の第一歩です。
差別化できる企画事例
見た目で引きつける「魅せる動き」
例:
- ロボットアームでサインペンを使い、その場で来場者の名前を紙に書く。
- 産業用ロボットが一輪の花を手渡す演出。
- カメラ付きの自動検査装置が来場者の顔を検出し、笑顔の割合を判定する。
「技術的に高度」というより、「面白い・美しい・驚き」の要素が鍵です。
知識を深める「見せる分解モデル」
例:
- 自動機の内部構造を一部アクリル化し、動作の仕組みが見えるようにする。
- IoTダッシュボードのモニターを設置し、リアルタイムの稼働データやトラブル検知を表示。
技術者や購買担当者には「中身がわかる」ことが信頼につながります。
体験型の「参加型デモ」
例:
- 来場者がタブレットで簡単な指令を出し、ロボットの動作を体験。
- シミュレーター上で最適なライン構築を組み立てるミニゲーム。
- QRコードでスマホから遠隔制御デモを体験。
参加型は滞在時間が長くなり、商談につながりやすくなります。
社会課題解決をアピール
例:
- 環境負荷低減の自動化ライン(電力消費量や廃棄物削減の数値表示)。
- 人手不足対策の省人化ライン(高齢者や女性でも扱える簡単操作)。
社会的な背景を絡めると企業イメージの向上にもつながります。
デモ企画の成功ポイント
- シンプルにまとめる
あれもこれも盛り込まず、1~2つの魅力に絞り込む。 - 事前リハーサルを重ねる
展示会場の騒音・人混み・通信環境で想定外の問題が起こりやすい。 - 説明員の教育
「装置はすごいのに説明が下手」では逆効果。説明員は装置の知識と顧客目線の話し方を学んでおく。 - ノベルティや資料の用意
体験後に持ち帰れる資料や小物で、記憶を強化する。
実例紹介
ある自動機メーカーは、小型ロボットアームを使ったデモで大成功を収めました。ロボットが名刺サイズのカードに来場者の名前を書き、手渡しする仕掛けは、注目・話題性・記憶に残るという3拍子が揃い、展示会後の問い合わせ件数が前年比150%に増加しました。
別の事例では、IoT対応の工場可視化システムをリアルタイムでデモし、来場者がスマホで自社工場をモニタリングする体験を提供。
商談化率が高まり、具体的な導入相談が続出しました。
まとめ
展示会の自動化デモは、「動かすこと」そのものが目的ではなく、「何を伝え、どう記憶に残すか」が勝負です。
見た目のインパクト、参加体験、社会課題解決のメッセージを組み合わせ、競合に埋もれない差別化を図りましょう。
小さな工夫の積み重ねが、営業成果を大きく左右します。