「納期を守るのが当たり前」——そうは言っても、現場では突発トラブルや人員不足で計画どおりに進まないのが現実です。納期遅延は顧客の信頼を損ね、長期的な取引にも悪影響を与えかねません。
しかし近年、“納期遵守率100%”を維持している工場が増えています。そのカギは、「自動化」にあります。
本記事では、初心者の方でも理解できるように、自動化が納期遵守率をどう支えているのか、実際の手法や成功事例を交えて解説します。
なぜ納期が守れないのか?
納期遅延の要因は多岐にわたります。
- 突発的な設備トラブル
- 作業者の欠勤や技術差
- 段取り替えによる時間ロス
- 材料・部品の供給遅延
- 工程間の調整ミス
これらのうち、人の作業や感覚に依存している部分が多く、属人性の排除が課題となります。
自動化で“ブレ”をなくす
自動化によって、工程ごとのばらつきや人員リスクを最小化することができます。
✔ 安定稼働で生産遅れゼロ
設備が24時間安定して稼働すれば、スケジュール通りの生産が実現可能になります。
- ロボット作業 → 疲れない・ミスしない
- 自動搬送 → 材料が必ず時間通りに届く
- PLC制御 → タイミングが秒単位で安定
✔ 作業時間の見える化で遅延を予測
センサーとIoTを活用すれば、工程ごとの稼働状況をリアルタイムで可視化可能。
- 進捗が予定より遅れていればアラート
- 異常を検知したら即停止・通知
- ダッシュボードで全体の状況を一括確認
これにより、遅れる前に手を打てる体制が整います。
✔ 段取り替えの自動化で切り替え時間短縮
多品種生産では、段取り作業が遅延の原因に。
- 金型交換の自動化(クイックチェンジ)
- 工具・レシピの自動呼び出し
- バーコード読取で製品ごとの設定を即切り替え
これにより、1日何回もの製品切り替えでもスムーズに対応できます。
実際の成功事例
✅ 精密部品メーカー(従業員45名)
課題:繁忙期になると納期遅延が発生。手作業での段取りと、検査の時間がネックだった。
対応:
- 段取り工程に協働ロボットを導入し、工具交換を自動化
- 検査工程に画像判定AIを導入
- 生産計画と実績をIoTで見える化
結果:
- 月次納期遵守率:83% → 100%に到達
- クレーム数ゼロを12か月連続で達成
- 作業者の残業も月30時間削減
小さな工場でもできる「納期対策自動化」
大規模設備を導入しなくても、以下のような手法から始められます。
- 作業指示のデジタル化:紙の指示書をタブレットに変更
- 進捗の共有化:Googleスプレッドシートで状況を全員で見える化
- 簡易センサーで工程監視:スイッチ付きの積算カウンターなどで作業量を記録
これだけでも、「予定どおりに進んでいるか?」を日々チェックできるようになります。
自動化導入の進め方
ステップ① 過去の納期遅延原因を洗い出す
→ 工程別・月別に「なぜ遅れたのか」を記録
ステップ② 人依存の工程を特定する
→ 特定の人しかできない作業・ばらつきが出やすい工程
ステップ③ 段階的に自動化・可視化を導入
→ いきなり全自動化せず、1工程ずつ改善
ステップ④ 効果測定と改善のループ
→ 実績を定期的に見直し、さらに改善点を見つける
まとめ
「納期を守る」ことは、信頼を守ることです。
そのためには、人に頼らず、仕組みとして守れる体制=自動化と見える化が必要です。まずは「なぜ遅れるのか?」を明らかにし、小さな改善から積み上げていくことが、“納期遵守率100%”への最短ルートです。

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