ASEAN各国の自動化事情と進出時の注意点

事例紹介

近年、ASEAN(東南アジア諸国連合)各国は製造業の集積地として注目されています。

人件費の安さや人口構成の若さだけでなく、インフラ整備やデジタル化が進んでいる国も多く、自動化の導入先として日本企業からの関心も高まっています。

では、実際にASEAN諸国に進出して工場自動化を図るには、どのような点に注意すべきなのでしょうか?

タイ:製造業中心の自動化推進国

タイは「タイランド4.0」政策のもと、製造業の高度化を国家戦略としています。

特に自動車産業や電子機器産業におけるロボット導入が進んでおり、現地エンジニアのレベルも比較的高いです。日系企業も多く進出しており、日本語に対応できるスタッフの確保も比較的容易です。

ただし、バンコク周辺以外の地域では電力・通信インフラに差があるため、進出時には事前調査が不可欠です。

ベトナム:若い労働力と設備更新の伸びしろ

ベトナムは若年人口が多く、今後の労働力供給において強みがあります。一方で、手作業中心の生産スタイルがまだ多く、自動化はこれから本格化していく段階です。

そのため、基礎的な機械操作の教育やメンテナンス体制の構築が重要になります。

また、現場の改善提案などは日本側がリードする場面が多く、丁寧な育成と長期的視点が求められます。

インドネシア:市場の大きさと地理的課題

インドネシアはASEAN最大の人口を誇り、国内市場も非常に魅力的です。

しかし、国土が広く、島が多いため、部品供給やアフターサポートに時間がかかるケースがあります。

また、工場周辺のインフラが整っていない地域もあり、自動化設備の設置やメンテナンスに制約が生じることも。都市部では中小企業向けの簡易自動化から導入が進みつつあります。

マレーシア・シンガポール:先進的な設備環境

マレーシアやシンガポールは、すでにハイレベルな自動化技術を受け入れる土壌が整っています。

とくにシンガポールはスマートファクトリーやAI導入の先進国であり、協働ロボット(コボット)の活用も盛んです。

現地のエンジニア教育も進んでいるため、高度な自動化を検討する場合は有力な進出先となります。

ただし、賃金水準が高いため、コスト対効果の見極めが必要です。

進出時の注意点1:現地スタッフとの連携

自動化機器は、設置後のメンテナンスや運用が重要です。
現地スタッフの教育やマニュアル整備、技術支援体制の構築を進出時から計画することが求められます。

日本から技術者を派遣する場合も、言語・文化の違いを理解し、現地スタッフと信頼関係を築くことが鍵になります。

進出時の注意点2:電力とインターネット環境

多くのASEAN地域では、都市部と地方で電力や通信環境に大きな差があります。
ロボットやセンサー類を安定的に稼働させるためには、電圧の安定性やインターネットの通信速度・品質が重要です。

インフラ状況は必ず事前に確認しましょう。

まとめ:ASEANはチャンスと課題が共存する地域

ASEAN各国は、それぞれの事情に応じた工場自動化の可能性を持っています。
共通するのは「人材教育」「インフラ」「現地理解」の3つがカギになるということです。

日本の高品質な技術とノウハウを活かしつつ、現地との協働体制を築くことで、安定した生産体制と継続的な成長が実現できます。

進出前の丁寧な調査と、現地目線での対応が、成功への第一歩です。

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