設備搬入から調整完了までの標準スケジュールの組み方

事例紹介

新たな自動化設備を導入する際、現場では「いつから使えるのか?」「本稼働までに何をすればいいのか?」という疑問がつきものです。そこで重要になるのが、設備搬入から調整完了までのスケジュール設計です。

本記事では、初心者にも分かりやすく、一般的な標準スケジュールの考え方とポイントを解説します。

スケジュールは「逆算」で考える

まず最初に行うべきは「本稼働日を決めること」です。この日から逆算して、各工程に必要な日数を積み上げていくのがスケジュール設計の基本です。

  • いつから使いたいか(本稼働日)
  • 検収日、社内検査日
  • 搬入日、立ち上げ開始日
  • 工場出荷日(FAT)や搬入前準備

これらをリストアップした上で、カレンダーに落とし込み、休日や現場都合も考慮して調整します。

標準的な設備導入スケジュールの流れ

以下は、自動化設備を1台導入する際の標準スケジュール例です(目安:約2ヶ月間)。

  1. 【Day 0】設備の仕様確定
     図面、レイアウト、電源や配線条件、オプション機能を決定
  2. 【Week 1-4】製作・社内試験(FAT)
     製造元で機器製作、社内で事前テストを実施
  3. 【Week 5】出荷準備・搬送調整
     トラック・クレーンの手配、搬入経路の確認、現場養生の準備
  4. 【Week 6】設備搬入
     実際に設備を搬入し、所定の場所に据え付け
  5. 【Week 7】立ち上げ・配線・動作確認
     電気・エア配管を接続し、センサー・制御系を動作テスト
  6. 【Week 8】現場調整・試運転
     製品を流して調整、動作パターンの微修正や教示作業
  7. 【Week 9】現場検収・操作教育
     担当者へ操作指導、マニュアル配布、必要に応じて修正
  8. 【Week 10】本稼働スタート
     トラブル対応のため数日間は立ち会い体制が望ましい

スケジュールが崩れる「落とし穴」とは

計画通りに進まないことも多々あります。よくある遅延の原因としては以下が挙げられます。

  • 図面の確定が遅れ、製作が後ろ倒しに
  • 現場の電源・エアが未整備で設置できない
  • 立ち上げ中に予期しない干渉や誤動作が発生
  • 担当者の不在により操作教育が遅延

これらを防ぐためには、「各工程の担当者と進捗を共有する」ことが欠かせません。

ガントチャートを活用して視覚的に管理

スケジュールをカレンダーだけでなく、「ガントチャート」として可視化することで、関係者間の認識ずれを減らすことができます。

工程ごとに横棒で表現し、遅れが出た場合はすぐに把握・調整できます。特に複数業者が関与する場合は、全体スケジュールを共有し、責任範囲を明確にしましょう。

まとめ:計画8割・実行2割で進める

設備導入は「準備段階の計画精度」で成否が大きく分かれます。逆算思考、関係者との共有、そして余裕を持った工程設計が、安定した立ち上げの鍵となります。

予定より早く完了することよりも、「遅れないこと」を意識した堅実なスケジューリングが、信頼される設備導入の第一歩です。

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