人手不足の時代だからこそ、工場自動化【前編】

事例紹介

前半では、これからますます深刻化すると言われている人手不足の状況を確認したいと思います。
後編では、外注先の選定で考えるべきことと、【工場自動化マッチング】の取り組みをご紹介します。

製造業における人手不足の現状

さまざまな業界で人手不足の状態だと話題になっていますが、今回は特に製造業の現場でどのような状態になっているか、という点を確認していきたいと思います。

文章中のグラフやデータは、下記から引用しています。
令和4年度ものづくり基盤技術の振興施策(2023年版ものづくり白書)
2023年版 ものづくり白書(令和4年度 ものづくり基盤技術の振興施策)概要

まずは全産業に占める製造業の「就業者数」との「割合」を下のグラフで見てみます。
棒グラフの青が非製造業・赤が製造業です。
折れ線は全産業の中で製造業の割合を示しており、製造業の割合は減少していることが分かります。

次に、先ほどのグラフを世代別に落とし込んだグラフを見てみます。
上が34歳以下の若い方・下が65歳以上の高齢の方となっています。
棒が就業者数、折れ線の青が全作業・黄色が非製造業・赤が製造業です。
若い方は全産業で就業者数自体が減少していることが分かりますし、高齢の方は、全産業が増加傾向にある中で、製造業は横ばいとなっており、置いて行かれていることが分かります。

製造業界で、他の産業よりも人手不足が顕著な理由

なぜ、製造業界は他の作業よりも人手不足が顕著なのか。
どうやら労働環境に理由がありそうです。
下の2つのグラフは、全産業と製造業で労働時間を比較したもの、そして賃金水準を比較したものです。
製造業は労働時間が長いわりに賃金が高くないということが分かります。

また、今の若い方は「終身雇用制度」という意識がこれまでほど高くないこともあって、職場に求める条件として「スキルアップ・ステップアップできる職場」を求めています。
そんな中で、製造業はそれを叶えられるかというと、その結果が下のグラフです。
「指導する人材が不足している」という傾向にあります。
「鍛えがいのある人材が集まらない」という意見も多いですが、これは企業側からの視点であって、企業側と就業者側とのギャップが浮き彫りになっているという状況です。

結果的に、新規学卒者の目から見て、製造業は魅力ある業界には映っていない、就職先として選択されない状況になっています。

新卒で人が集まらないことに加えて、下のグラフは青が入職率・緑が離職率を示しています。
業種別にみると、現在就業している従業員も製造業・建設業などの産業から、宿泊業・飲食サービス業・娯楽業に転出してしまっているというのが現状です。

これからさらに深刻化する人手不足

さらに、これから人手不足に追い打ちをかける状況が訪れようとしています。

  • 「雇用の流動化」意識が高まる
  • 物流の2024年問題
  • 少子化の影響が顕著となる2030年問題

すでに、賃金の高い産業への人材の流出が始まっていますが、この流れはますます顕著になります。
若くて優秀な人材ほど稼げる業界・成長できる業界に流れていくことが予想されます。

人手不足解消のために取り組むべきこと

製造業界が人手不足であることは明らかです。
では、人手が足りない中で生産体制を維持していくためにどのような取り組みが必要でしょうか。

1つ目は、人手不足を解消する策の1つが「人手不足の状態でも生産できるような環境を整備する」というものです。
国としてもロボットの導入やFA化・自動化を推奨しており、補助金なども多数用意されています。

経済産業省Webサイト内「ロボフレ」の案内

次に、非正規雇用や外国人労働者の活用も推奨されています。

民間の人材派遣会社でも、製造業専門のサービスも増えてきて、派遣社員さんを取り入れている現場も増えています。

フジアルテ
テクノ・サービス
キャリアリンク

これらの取り組みが抱える課題

このように、人手不足の解消方法はいくつか考えられるわけですが、これらにも課題がないわけではありません。

ロボット導入・FA化等は「生産に対する人手不足」の解消には有効だと思われますが、これらの設備だって「保全する人材」はどうしても必要です。そしてここで大きな問題となる点として、「これまで培った技術が生かせない」可能性が出てきます。既存設備を保全していた技術は、ロボット・FA機器に対しては活かせない可能性があり、その場合新たな人材が必要となってしまいます。

また、派遣社員・外国人労働者に対する教育も必要となりますが、そもそも人材育成に時間を確保できていない現状があって、その中で「定着するかどうか分からない人材」に対して教育コストをかけられるかどうか、ということは考えなければいけません。

人手不足の解消方法

  • ロボットフレンドリー・FA化・自動化
  • 契約社員・外国人労働者・派遣スタッフ

現場が抱える問題点

  • ロボット・FA装置を誰がメンテナンスできるのか
  • 教育に割く時間を確保できない中で
    定着しない労働力に指導する価値を見出せるか

結論

製造業界での人手不足の状況は間違いないようです。
では、生産設備の安定化のために、点検・保全業務はどうするべきなのか?
機械修理.com が考える最適解はこちらです。

  • 商品開発などのコアな部分は正規社員を雇用するため、労働環境の改善に努める
  • それ以外の部分は継続的にまかせられる外注先に委託する

開発部門も保全部門も自社の社員で賄おうと考えると、固定費の増額は避けられません。
人手不足の状況ではなおのことです。
この状況を解決するために、信頼できる外注先の確保に努めることが賢明です。

それでは、次回は外注先選定のポイントと、機械修理.com の取り組みをご紹介します

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