近年、多くの製造業や物流業で人手不足や生産性向上の課題を背景に、産業用ロボットの導入が進んでいます。しかし、
「導入したいけれど、高額な初期投資がネック…」
「失敗したらと思うと踏み出せない…」
こういった声も少なくありません。
そんな企業に注目されているのが、ロボットレンタルという選択肢です。この記事では、初心者の方でも理解できるように、ロボットレンタルの仕組み、メリット、導入前に知っておきたい注意点をわかりやすく解説します。
ロボットレンタルとは?
ロボットレンタルとは、産業用ロボットや協働ロボットを一定期間だけ借りて活用するサービスです。購入ではなく月額制・短期契約などの形でロボットを使用するため、初期費用を抑えながら導入できるのが大きな特長です。
対象となるロボットの例:
- パレタイジングロボット(積み下ろし)
- ピッキングロボット(仕分け)
- 搬送ロボット(AGV、AMR)
- 溶接・研磨用ロボット
- 協働ロボット(人と一緒に作業可能)
ロボットを「買う」のと「借りる」の違い
比較項目 | 購入 | レンタル |
---|---|---|
初期費用 | 数百万円〜数千万円 | 数万円〜数十万円/月 |
導入スピード | 工期や設定が必要で時間がかかる | 比較的すぐに開始できる |
所有権 | 自社にあり資産計上が必要 | 所有権なし、経費処理可能 |
メンテナンス | 自社または別途契約 | サービスに含まれる場合も多い |
柔軟性 | 一度購入すると変更しづらい | 合わなければ解約・交換可能 |
ロボットレンタルのメリット
① 初期費用を大幅に抑えられる
購入と比べて圧倒的に初期費用が少ないため、資金に余裕のない中小企業でも導入しやすいのが最大のメリットです。特に実証実験や短期プロジェクトには最適です。
② スモールスタートでの導入が可能
「どの工程にどのロボットが合うか」を見極めながら、小規模で試して、うまくいけば拡大するといった段階的な導入に適しています。
③ 短期間だけの利用もできる
繁忙期だけ使いたい、特定の製品の製造期間だけ必要、という場合にも、必要な時期だけ契約できる柔軟さがあります。
④ 保守・サポート込みで安心
多くのレンタルプランでは、メンテナンスやトラブル時の対応が含まれているため、自社に専門技術者がいなくても安心です。
⑤ 技術進化への対応がしやすい
技術の進化が早いロボット業界では、「買った後すぐに型落ちになる」ということも。レンタルであれば新しい機種に切り替える柔軟性があります。
導入前に知っておくべき注意点
① 月額費用の累積に注意
長期間使うと、最終的な支払額が購入より高くなる可能性があります。使用期間の見込みを立てて、費用対効果を比較しましょう。
② 専用設備や環境が必要な場合も
一部のロボットでは、設置場所のスペース確保・電源・セーフティ機器などの準備が必要になります。導入前に要件を確認しましょう。
③ 操作や設定に一定の学習が必要
「借りたけど使いこなせない」ということを避けるために、初期トレーニングや操作指導の有無を確認することが大切です。
④ 保険・破損時の責任範囲を確認
故障や破損時の責任、保険の内容などを事前にチェックしておかないと、思わぬ追加費用が発生する場合もあります。
実際の活用事例
◆ 食品加工業B社(従業員20名)
- 導入目的:深夜の仕分け作業をロボットに任せたいが、投資予算が限られていた
- 対応:協働ロボットを6か月レンタル(月額12万円)し、試験運用
- 成果:2名分の作業を代替、月60時間の残業削減。効果を確認後、購入に切り替え
- ポイント:レンタルで事前検証 → 本格導入の判断がしやすかった
◆ 梱包業C社(繁忙期特化)
- 導入目的:年末の繁忙期にのみ人手が足りず、毎年採用に苦戦
- 対応:AGV(無人搬送車)を3か月レンタル(約30万円)
- 成果:人手不足の解消と同時に安全性も向上
- ポイント:期間限定の利用でコストを抑えつつ業務効率化
ロボットレンタルを始める流れ
- 対象業務・工程の洗い出し
→ どの作業に自動化の可能性があるか検討 - ロボットの種類と仕様を選定
→ 作業内容、重量、速度、安全性を考慮 - 複数社から見積・プランを比較
→ 月額費用、サポート内容、保険条件などを確認 - 現場での試運転・調整
→ 設置環境に適応できるか確認 - 運用開始後のフィードバックと改善
→ 操作性、効果、課題を検証しながら最適化
まとめ
ロボットレンタルは、「高額な設備投資に踏み切れない」「まずは試してみたい」という企業にとって、低リスクかつ柔軟な導入手段です。
メリット | 注意点 |
---|---|
初期費用が抑えられる | 長期利用では割高になる可能性 |
スモールスタートが可能 | 設置条件や操作に注意 |
技術進化に対応しやすい | 保守内容・保険の確認が必要 |
まずは、自社に合ったロボットとレンタルプランを見つけて、小さく試し、大きく育てるつもりで活用していくのが成功の近道です。
“買う”前に、“借りる”という選択肢をぜひ検討してみてください。