配線・配管トラブルを避けるための設計ミス事例集

事例紹介

自動化ラインの稼働停止や、定期メンテナンスのたびに手間取る配線・配管…。

実は多くの場合、その原因は設計段階での見落としや配慮不足にあります。工場の自動化が進む今だからこそ、「配線・配管の設計ミス」によるトラブルは未然に防ぎたいところです。

この記事では、現場でよくある設計ミスの事例と、それを防ぐためのポイントを初心者向けにわかりやすく解説します。

事例① メンテナンス性を無視した配線ルート

制御盤から各装置に向かう配線を、天井裏や壁の裏に通してスッキリさせたものの、トラブル時にアクセスが困難に。結局、全体の解体作業が必要になってしまうケースです。

防止ポイント: 配線の美しさだけでなく「点検・交換のしやすさ」を考慮し、フレキシブルチューブや配線ダクトを活用しましょう。

事例② 動作範囲と配線長を見誤る

可動アームに取り付けたセンサーのケーブルが短すぎて、動作時に引っ張られ断線。逆に長すぎて可動部に絡まり、断線や誤動作を引き起こした事例もあります。

防止ポイント: ケーブルベアの使用、可動範囲の事前シミュレーション、スラックの確保が重要です。

事例③ エア配管と電気配線の混在

狭いスペースに電気と空気の配管を同一ルートでまとめた結果、振動や熱、静電気などの影響で誤作動やエア漏れが発生したケースがあります。

防止ポイント: 高圧エア・低圧エア・電線は物理的に距離を取り、必要に応じて分離パネルや保護材を活用します。

事例④ 配管支持が不十分

長距離にわたる配管で、支持金具が少なすぎて中間がたわみ、振動で割れや漏れが発生するパターンです。床や壁の施工前に適当な固定箇所がなくなることも多いです。

防止ポイント: 配管長と素材に応じた支持ピッチを守り、施工前に支持具の設計と位置を図面に明記しておくことが重要です。

事例⑤ 熱源との距離を無視した配線

ヒーターや高温装置の近くにケーブルを敷設し、断熱処理をせずに運用。ケーブル被覆が溶け、火災寸前のトラブルに発展したケースもあります。

防止ポイント: 発熱装置周辺の温度を事前に測定し、耐熱ケーブルや断熱材の使用を検討しましょう。

設計段階での「想像力」が重要

配線・配管設計における最大のポイントは、「実際にメンテナンスする人」「実際に動かす装置」の視点に立つことです。

設計図面だけでは気づけない要素を現場目線で想像することが、トラブル回避への第一歩です。

まとめ:設計ミスは防げる!配慮が設備の寿命を延ばす

配線・配管の設計ミスは、工場の稼働停止や修理コストの増大と直結します。逆に、初期段階で「保守性」「安全性」「可動性」を意識すれば、長期的なトラブルを大幅に減らせます。

現場で実際に発生した事例を参考にしながら、確実な設計を目指しましょう。

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