工場の自動化ラインは、夜間の無人稼働によって生産性を大幅に向上させます。しかし、夜間運転には独自の課題やトラブルが伴います。これらを放置すると、生産停止や品質低下につながり、コスト増大を招くこともあります。
この記事では、初心者でもわかりやすいように、夜間稼働の自動化ラインでよく起きるトラブルと、その具体的な対応法を解説します。
夜間稼働ならではの主なトラブル
✔ センサー・機器の誤作動
夜間は温度・湿度が昼間と異なるため、結露やほこりの影響でセンサー誤検知が起きやすくなります。特に屋外や半屋外ラインでは注意が必要です。
✔ 材料供給の詰まり・枯渇
材料供給が途絶えると、自動化ライン全体が停止します。人が常駐していないため、夜間は異常の発見が遅れやすいのが問題です。
✔ ソフトウェアエラー・通信障害
自動化ラインではPLC（シーケンサ）やIoT機器がネットワーク連携していますが、通信障害やバグによってライン全体が停止するリスクがあります。
✔ 突発的な機械トラブル
ベルトの蛇行、モーターの過熱、エア圧の低下など、突発的なトラブルが発生した場合、夜間は人的対応が遅れやすいです。
✔ 不良品の流出
夜間は品質管理者が不在のため、不良検知システムが働かないと不良品が流出するリスクが増します。
トラブルの具体的な対応法
✔ 予兆監視システムの導入
振動センサー、温度センサー、電流センサーを活用し、設備の異常兆候をリアルタイムで監視します。異常を検知したら自動停止や警報発信ができる仕組みを構築します。
✔ 材料供給の冗長化
- 大容量のホッパーや材料供給タンクを使用。
- ダブルフィーダーシステムを導入し、片側が枯渇してももう片側が稼働。
✔ 自動リセット・再起動機能の活用
ソフトウェアエラーや一時的な通信切断は、自動でリセットや再起動する設定を行います。ただし、重大エラー時は自動停止する仕組みにすることが重要です。
✔ 定期的なメンテナンスとリモート監視
昼間に徹底的な設備点検を行い、夜間はリモートカメラやダッシュボードで状態をモニタリングします。異常発生時はメール・SMS通知を活用します。
✔ 不良流出防止策
AI画像検査装置や重量チェッカーを導入し、夜間でも不良品を自動検出。ラインに緊急排出機構を組み合わせるとさらに安心です。
トラブル発生時の連絡体制
- 異常通知の自動化（例：アラームメール、チャット通知）
- 緊急対応の当番者を決める
- 外部サービス（保全契約）の活用
事前にフローを整備しておくことで、夜間でも迅速な対応が可能になります。
実例紹介
ある自動車部品メーカーでは、夜間の材料詰まりによるライン停止が頻発。材料供給タンクの容量を2倍にし、予兆監視システムを導入したことで、トラブルが8割減少。さらに、夜間担当の緊急連絡体制を整備し、発生時の対応時間を1時間から15分に短縮しました。
成功のためのポイント
- 夜間の現場を現地確認する：昼間と条件が違うことを理解。
- 対応策を段階的に導入する：全体改修ではなく、優先度の高い場所から。
- 現場スタッフと定期的に情報共有する：改善提案が生まれやすくなる。
まとめ
夜間稼働の自動化ラインは、稼働率向上に大きく貢献しますが、トラブルのリスク管理が不可欠です。予兆監視、冗長化、自動リセット、リモート監視などの対策を段階的に導入し、安定稼働を実現しましょう。現場と営業、技術が一体となって改善を進めることで、競争力の高い工場を目指せます。
