「自動化したいけれど、新品の設備は高すぎる」
この悩みは、多くの中小製造業が直面する現実です。確かに、最新のロボットやスマートセンサーを導入すれば、初期投資は膨大になります。
そこで注目されているのが、「中古設備を活用した低コスト自動化」です。既存の機器や中古装置を上手に組み合わせることで、費用を抑えつつ、十分な自動化効果を得ることが可能です。
本記事では、中古設備を使った自動化の進め方と、気をつけるべきリスクについて、初心者にも分かりやすく解説します。
なぜ中古設備が注目されるのか?
以下のような理由から、中古設備の活用が再評価されています。
- コスト削減:新品の30~50%の価格で導入可能
- 即納可能:納期が短く、すぐに現場投入できる
- 簡素な仕組み:余分な機能がなく、カスタマイズしやすい
とくに「完全自動化」ではなく「半自動化」を目指す場合、中古設備は現実的で効果的な選択肢となります。
中古設備を活かす自動化の工夫
① PLCやセンサーの後付け
機械自体は中古でも、PLC(プログラマブルロジックコントローラ)やセンサーを後付けすることで、自動停止や信号出力などの基本的な制御は可能になります。
② シンプルな動作に特化
複雑な処理をさせるのではなく、「搬送だけ」「投入だけ」など、単機能に特化することで、確実に自動化効果を得られます。
③ 外部機器との組み合わせ
中古設備に対して、カメラ検査装置や電動アクチュエーターなどを追加することで、より高度な制御や検知が可能になります。
導入の実践例:加工現場の半自動ライン
ある金属加工工場では、20年前の中古プレス機にセーフティライトカーテンとPLCを取り付け、安全性を担保しながら半自動ラインを構築しました。
- 作業者が素材をセットすると自動でプレス開始
- 加工完了後、自動で次の搬送装置が動作
- 作業記録もセンサー連携で自動保存
これにより、作業時間を30%以上短縮しながら、安全性とトレーサビリティも確保しました。
注意すべきリスクとその対策
中古設備の導入には以下のようなリスクが存在します。
① 保守部品の入手困難
古い設備は、メーカーサポートが終了していることも多く、部品交換が難しくなることがあります。
→ 対策:導入前に消耗品・交換品の調達ルートを確保、もしくは同型機を複数確保して“部品取り”として使用。
② 電気安全規格への適合
古い機械は、最新の電気・機械安全基準に適合していない場合があります。
→ 対策:制御盤や配線の見直し、安全装置(非常停止、ライトカーテン等)の後付けを実施。
③ 中古設備の状態差
中古品は状態に個体差があり、当たり外れがあるのも事実です。
→ 対策:実機確認や信頼できる販売業者からの購入、保証付き商品を選ぶ。
成功のポイント:自社の「目的」を明確にする
低コスト自動化を成功させるカギは、「なにを自動化するのか」「どこまで自動化するのか」をはっきりさせることです。
例えば:
- 不良品を減らしたい → カメラ検査装置の追加
- 作業時間を短縮したい → 搬送装置の自動化
- データを残したい → センサーとPLCの連携
目的が明確になれば、中古設備をベースに「ちょうどいい自動化」が設計できます。
まとめ:中古設備×アイデアで、自動化はもっと身近に
高価な最新設備がなくても、自動化は実現できます。中古設備を活かして、自社の課題に合った低コスト自動化を実現することは、今や多くの中小工場にとって現実的な選択肢です。
重要なのは、「できること」と「できないこと」を見極めて、自社にとって最適なレベルで自動化を設計すること。
限られた予算でも、工夫次第で現場は変わります。まずは身近な中古設備から、自動化への第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。