台風・地震時の設備保護に役立つ自動対応の制御例

事例紹介

日本は地震や台風といった自然災害が多い国です。工場においても、突発的な揺れや強風による影響は甚大で、生産設備の損傷、データの消失、火災や漏電といった二次災害につながる可能性もあります。

そこで、災害時に設備を守るための「自動制御による対策」が注目されています。

本記事では、初心者にも分かりやすく、自動化によって設備を保護するための制御例を紹介します。

なぜ「自動対応」が重要なのか?

災害は予測が難しく、人的対応が間に合わないケースも多くあります。自動対応の仕組みを導入することで、現場に人がいない状態でも被害を最小限に抑えることが可能になります。

また、自動制御は以下のようなメリットがあります。

  • 即時対応により機器を保護
  • 作業員の安全を確保
  • 再起動や復旧の手間を軽減

台風時に有効な自動対応の制御例

① シャッター・窓の自動閉鎖

風速センサーや気象APIからの情報をもとに、所定の風速を超えたら自動的にシャッターや窓を閉鎖する仕組み。PLCと連動して駆動部を制御し、建屋への浸水や飛来物の侵入を防ぎます。

② 屋外設備の自動格納

搬送ロボットやパレット積載装置など、屋外で使用される機器を風速に応じて自動退避・格納。フォークリフト型AGVを用いて、指定エリアへの回収・収納を自動で行うことも可能です。

③ 排水ポンプの自動起動

敷地内の排水口やピットに水位センサーを設置し、一定以上の水位でポンプが自動起動する構成。台風時の床上浸水や機器の冠水を未然に防ぎます。

地震時に有効な自動対応の制御例

① 設備の緊急停止

地震計と連動した制御で、震度5弱以上の揺れを感知すると即時に機械装置を緊急停止。モーター制御やエア供給の遮断により、被害拡大を防ぎます。

② 昇降装置や搬送ラインの位置固定

地震時にリフトや昇降機が動作中だと、落下や機体破損の恐れがあります。揺れを感知した時点で現在の位置でロックをかけ、二次的な損傷を防ぐ仕組みが有効です。

③ データの自動バックアップ

設備がシャットダウンする前に、センサー値や生産記録などの重要データを一時的に保存する制御を組み込み、復旧後の再稼働をスムーズに行う準備を整えます。

クラウド連携とAIによる予測型制御

近年では、クラウド上の気象データや地震速報と連動した制御も普及しつつあります。
たとえば、API経由で気象庁データを取得し、工場内システムへリアルタイム通知する構成や、AIによるリスクスコアの計算に応じて制御動作を事前に変更するといった応用も進んでいます。

これにより、「台風が数時間後に接近する」といった情報から、あらかじめ対象設備を非稼働にしておくことも可能になります。

導入のポイントと注意点

自動制御の導入にあたっては、以下の点を押さえておくとよいでしょう。

  • すべての対応を「自動化」する必要はない(要所だけでも効果大)
  • センサーや装置の誤作動リスクに備えて、手動切替機能も残す
  • 定期点検と訓練で、非常時にも正しく作動するよう確認

また、災害時には停電も想定されるため、UPSや非常用発電機との連動も設計に組み込むことをおすすめします。

まとめ:リスクを未然に防ぐ自動対応制御の力

自然災害はいつ発生するかわかりませんが、事前に備えることでその影響を最小限に抑えることができます。自動化された制御システムは、現場の安全と生産の継続性を守る強力な武器です。

台風・地震のような外的要因に対しても、機械が自ら反応する仕組みを整えておくことで、企業としての対応力は大きく向上します。自動制御の導入を通じて、「止まらない工場」を実現しましょう。

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