製造業において、自動化導入は単なる社内改善ではなく、取引先、特にOEM(相手先ブランド製造業者)からの信頼を勝ち取る重要な要素です。OEMは品質、納期、安定供給に敏感なため、「この工場なら任せられる」と思わせる情報提供が必要です。
この記事では、初心者向けにOEMからの信頼を勝ち取るための、自動化導入プレゼン資料の作り方をわかりやすく解説します。
1. プレゼン資料の目的を明確にする
プレゼン資料は単なる「自慢話」ではなく、OEMに次のことを伝えるツールです。
- 安定した品質と供給力がある
- 改善・挑戦を続ける企業姿勢がある
- 相手にとってのメリットがある
つまり、「なぜこの工場に仕事を出すべきか」を相手目線でまとめることが重要です。
2. 必須構成のフレームワーク
初心者が使いやすいプレゼンの構成は以下のとおりです。
- 表紙
- プレゼンタイトル
- 会社名・工場名・担当者名・日付
- 現状と課題
- これまでの実績
- OEMからよく求められる課題(例:品質、納期)
- 自動化導入の目的と概要
- なぜ自動化したのか(例:不良率改善、納期短縮、人手不足対策)
- どんな設備を導入したのか(簡単な説明+写真)
- 成果と効果
- 数値での改善例(例:不良率5%→0.5%、生産リードタイム30%短縮)
- OEMにとっての具体的メリット
- 将来展望
- 今後の改善計画や、さらに挑戦すること
- 質疑応答
- 事前に想定質問を盛り込むとベスト
3. 訴求力を高めるコツ
✔ 数字を入れる
「頑張りました」ではなく、「不良率が〇%改善」「生産能力が〇倍」など具体的な数値を入れましょう。
✔ 写真・図解を活用
導入設備や改善前後の比較を写真やグラフで見せると、理解度と説得力が一気に高まります。
✔ OEMにとってのメリットを強調
「当社が良くなった」だけでは不十分です。
「OEMにとってどんな安心・価値を提供できるか」を強調しましょう。
4. よくある失敗と対策
- 技術説明が難しすぎる
→専門用語は避け、図や比喩で説明。 - 成果が社内向けに偏っている
→OEM側の課題(品質、納期、安定供給)に結びつける。 - 現場感が伝わらない
→現場写真や動画を取り入れ、リアル感を演出。
5. サンプルスライド構成(例)
スライドタイトル | 内容 |
---|---|
1. 表紙 | タイトル、会社・担当者名、日付 |
2. 導入前の課題 | 現状の課題・OEMの期待 |
3. 導入設備の概要 | 導入した自動化設備の写真・概要説明 |
4. 改善成果 | 不良率・納期・コストの改善数値、グラフ化 |
5. OEMへのメリット | 品質保証、安定供給、リードタイム短縮 |
6. 今後の計画 | さらなる改善・挑戦の方向性 |
7. 質疑応答・連絡先 | 想定質問と担当者情報 |
実例紹介
ある金属加工メーカーは、ロボット溶接ラインの導入プレゼンを作成し、OEMに対して以下を訴求しました。
- 不良率:2.5%→0.3%
- 月間生産数:1,200個→1,800個
- 突発停止件数:月10件→2件
プレゼン後、OEMの担当者から「これなら量産も安心」との評価を受け、大型案件を獲得することに成功しました。
まとめ
OEMから信頼を得るためのプレゼン資料作成は、「相手目線」「数字」「リアル感」の3つを意識することが重要です。派手なデザインではなく、中身と構成の工夫で勝負しましょう。しっかり準備すれば、工場の自動化は取引先への強力なアピールポイントになります。ぜひ次のプレゼンで活用してみてください。